リサイクル通信

2023年8月241号】

アンテナ

(百日紅/盛夏)

2008年3月、ベアー・スターンズの経営危機が報じられる6ヶ月前、リーマン・ブラザーズ破綻の1年前に、日本のある自動車メーカーの社長は、景気減速を予測し、社内に在庫圧縮など不景気に備える様指示した。」

真偽の程は、分かりませんが、経営者としてアンテナを高く張っていたのは確かだと思います。株価予測で知られるニトリの社長は、毎日、新聞全紙に目を通すそうです。これだけネットが普及し、瞬時に情報が行き渡る現代において新聞というのは違和感があるかもしれません。電車内でも新聞を読んでいる人は見かけませんし、本を読んでいる人もごく僅かです。大抵の人が、スマホを見ています。確かにコンパクトだし、取り扱いも容易だし、好きな情報に直ぐにアクセス出来ます。一方で、広告の多くがTVなどからネットに移っている現在では、如何に効率よく露出するかが重要になってきています。

つまり、見ている人が、好むコンテンツを如何に表示し、長くアクセスしてもらうかが広告会社としての最大目標です。その為の解析ツールも開発され、見ている側も表示される好みのサイトを巡る事になります。ここに情報の偏りが生じています。TVなどで、あまりメジャーではない地方の大学教授などが、コメントしているのを見かけますが、番組制作者の意図に合う教授を呼んでいるのでしょう。 しかし、それでは、高くアンテナを張っているとは言えません。ネットの情報は、パラボラアンテナの様に、指向性は強いかもしれませんが、後ろ側で起こっている事には、気が付かない(正確には気付けない)でしょう。

一方で、新聞が全て正しいとも思えません。特に記者名の書いていない記事は、誰が書いたのか分かりません。ある経済新聞のコラムは、官僚の指定席などと揶揄されるくらいですから。

基本に戻れば、新聞、ネット、書籍、雑誌など多様な情報源から情報を得て、自身の頭で考える事ではないでしょうか。未来の事は、誰にも分かりません。しかし、時代の流れには慣性が働いています。経済理論に於いても、アダムスミスの古典派から、貿易理論、マクロ経済学、ゲーム理論、行動経済学など、社会を見つめながら堅牢な理論を構築してきています。

今年の3月にアメリカの銀行が破綻しましたが、FRBは早期の収拾を図り、今秋のソフトランディングに向けて着実に進んでいます。これは、経済理論による知識とリーマンショックなどの経験から積み上げてきた対策が功を奏しているのだと思います。

さて、最近の状況を大まかに見ると、アメリカの個人貯蓄減少、クレジット残高は上昇、耐久消費財減少、サービス消費増加、労働不足による賃金上昇継続。

コロナでの過剰貯蓄の取り崩しは終わり、クレジットによる支払いの先延ばしをしつつ、住宅関連にお金は使わず、旅行などのサービス消費を増やしている、といった所でしょうか。

振り返って、日本は、コロナからの脱却が遅れた分、耐久消費財の支出がまだ伸びる様です。法人企業統計を見ても明らかです。一方で、景況見通しでは3Qで、大企業製造業で17.2に対して、中堅企業で、10.6、中小企業で3.5と企業規模による格差が激しい事が見て取れます。D.アトキンソン氏は、日本は中堅企業を伸ばすべきといった趣旨の発言をしていますが、確かに、一定の規模がないと分業による生産性の向上は望めません。今後、企業生き残りのポイントの一つは、規模だと思います。これは、求人に於いても同じです。

様々な情報源から情報を取得し、社会全体の大きなうねりを見つめ、イメージし、思考し、自社の舵取りをする能力を、「意識して」高め、新たな事業に挑戦していく時代、なのではないでしょうか。

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