リサイクル通信

2020年12月208号】

鉄スクラップ上昇 / 社会的共通基盤

鉄スクラップ上昇

鉄スクラップの価格が上昇しています。日本に限らず、世界的に新型コロナの影響で景気が悪いはずですが、なぜ需要は旺盛なのでしょうか?

まず、国内ですが、粗鋼生産は1Qをボトムに2Qでは上昇に転じています。3Qでは更なる上昇が予想されています。3Qは、前期比14%UPですが、前年同期比ですと8%弱の減少です。実は、ここがポイントなのですが、スクラップは原料と言っても、注文しただけ買えるものではありません。あくまでも、発生品なので、金属製品の生産が活発だとより多く発生します。減産傾向なら当然スクラップの発生も少ないという事になります。つまり、今夏ぐらいから、製品需要が旺盛になったと言っても、発生が急に増える訳ではありません。そうなると需給が引き締まり、価格上昇に繋がります。また、海外に於いても、新興国を中心に需要は回復しており、原料であるスクラップの需要も旺盛になっております。海外に於いては、欧州での発生が悪く、欧州産スクラップの需要家であるトルコは、アジア、北米に原料を求めており、価格上昇の要因になっております。また、ベトナムなども順調に粗鋼生産を伸ばしており、既にコロナ前の生産水準を超えてきております。銅なども中国の需要増を背景に上昇しており、年初来の高値水準にあります。アルミなども上昇していますが、外電が下落しており、そろそろ天井かもしれません。

社会的共通基盤

日本経済学者で、宇沢弘文という方がいます。既に鬼籍に入られておりますが、日本人で、最もノーベル賞に近かったと言われている経済学者です。この宇沢氏は、社会的共通資本という考えを提唱されています。現在の日本は、資本主義市場経済ですが、全てを市場に任せてはいけない。環境、教育、医療は社会的共資本として、利潤追求の場である市場に任せてはいけないと提唱しています。 環境に於いては、「自動車の社会的費用」(1974年)において、人々の市民的権利が侵害されていると述べています。

確かに、街の造りは、自動車通行を前提として作られています。歩行者優先としながらも、気楽に歩ける環境ではなくなっています。当時程ではないかもしれませんが、排ガスをまき散らす車道のすぐ横を我々は歩いています。人々が住み、雇用があり、文化的創造的な活動をする場を都市の第一義的な目的と考えるならば、現在の様な自動車中心の都市設計は貧しい街と言えるのかもしれません。 医療については、かつて医療関係者が行っていた「ヒポクラテスの誓い」と現行の点数制度は相容れないと述べています。正確に言えば、ミルトンフリードマンに代表される様な、市場原理至上主義は、医療に適用する事は適切ではないという事です。 

教育については、大学について以下の様に述べています。「学校教育制度の一環としての大学が果たすべき本来の機能はいうまでもなく「リベラルアーツ」を中心として、学生たちの人格形成の場としてとらえるべきである」。センター試験は、記憶と反射神経を基準とした偏差値による最悪の入試制度と述べています。現在でも、大学入学をゴールとした教育が行われており、リベラルアーツとは程遠いと思えます。 今回の新型コロナは、フリードマンによる市場原理至上主義に問題点を投げかけました。電車で都心に通い、家には寝に帰る生活から、在宅勤務などにより、ワークライフのバランスが、ややライフへと重心を移していきました。そこで感じたのは、金儲け至上主義から人としての生き方を改めて考える事だったのかもしれません。制度主義である社会的共通資本という考え方は、私有財産制と公共財との議論でもあります。SDGsが流行の兆しを見せている事は、人々の価値観が大きなうねりとして変化を見せている一端の様に思えてなりません。

今年も、一年大変お世話になり有難うございました。来年も引き続きご愛顧頂きたくお願い申し上げます。

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