リサイクル通信

2018年7月179号】

平成の終わりに / 「気づき」について

 (屋久島の夕暮れ)

平成の終わりに

さて、前期の東証上場企業の決算は非常に好調でした。日本企業も円高対応力が付き、為替に左右されない国際競争力を身に着け始めたようです。輸出企業の中には円安になると逆にマイナスになる企業もあるようです。要は品質や技術的要素で代替が難しい商品群を作り出し始めたということでしょうか。喜ばしいことです。

ただ、その一方で、イノベーション等、未来に向けた投資の伸びとか、あるいは特許出願の伸びや科学論文引用数の伸びといったものは、中国はもちろん、他の先進国より見劣りするとのことです。ざっくり言えば、「知」に関する成長力の老化が始まっていると言えなくはありません。日本の将来を展望したときちょっと心が暗くなります。

平成の終わりに、改めて日本の立ち位置を冷静に検証することも必要かと、近代日本史を時間的文脈の中で眺めてみました。(ちょっとザックリです・・・)

約一世紀半前に、激動する世界史の中にあって、内国的で成熟した国家に危機感を感じた日本人は、本気になって世界に目を向け、粗削りに海外の制度や文物を輸入・咀嚼し近代国家の道を歩み始めました。一部の国民からは、日本人の誇りを捨てたような振る舞いや行動に反旗を挙げる勢力もありましたが、それら抵抗勢力を排除しながら、大胆に近代国家の道を突き進みました。そして昭和の時代に入り、アジアの国で初めて欧米列強の先進諸国の仲間入りを果たすに至ります。

その後、一時期、のぼせ上った国家は敗戦という大きな代償を払いますが、それまで蓄積された「知」の力のエネルギーは凄まじく、その後は世界でも類を見ない経済成長を実現していきます(1947-1973:実質9.1%)。そして1980年代後半-、今の中国と米国の対立軸と同じ構造の中にあって、日本は米国のアドバイス?を受け入れ、やがてバブル経済へと突入し、崩壊。長い長い清算の時代に入ります。金融の膨張でつくられた経済は、長い時間をかけた金融の清算で幕を閉じます。 蛇足になりますが、当時、私もバブルの中で浮かれていた一人です。数年前に映画になった、広末涼子主演の「バブルへGO!」に郷愁を感じる心がまだ私の中にあるのも確かです。(人間ですから・・・。)

 話を戻します。その後、日本経済は低成長と言える時代に入ります。そしてリーマンショックで、再度、マイナス成長に沈みます。そしてここ数年間は、日銀の金融政策と世界経済に支えられて徐々に体温を高めてきましたが、長い間の投資控えによる潜在成長の低下と労働力人口の急激な減少(今年1月1日現在では6割を切りました)に直面しているのが、今の日本です。それも莫大な借金を抱え込んだ国家として―。

 さて、岐路に直面している成熟国家のこれから歩みの方向を占う決め手はなんでしょう。当然といえば当然ですが、実は、政治家でもなく・官僚でもなく、国民一人・一人の意思なような気がします。世界史に目を向ければ、興亡する国家の中にも再生を果たす国家や地域が確かにあります。日本も平成の終わりを、第二の明治維新と位置づけ、世界中に目を凝らし、科学技術(テクノロジー)だけでなく、優れた制度(システム)や文化等をもう一度学びなおすといった謙虚さと気概が必要な時期にきているのかもしれません。

「気づき」について

最近、「気づく」という現象の不思議さを感じました。「気づく」対象にのみ目を凝らすと「気づき」は、決して訪れはしない。これが気づきの本質で、当たり前のようで実は理解が難しい。ニュートンは木からリンゴが落ちるのを見て、万有引力を発見したと言われますが、これは大嘘-。だと思います。殆どの世界人類は、物が「落ちる」のは生まれたときから当たり前で、地面がリンゴを引っ張っているなんていう感覚はありません。落ちるという現象自身に理屈を挟む余地はない。それが慣れ親しんだ思考(感覚)です。

しかし、一瞬でも、自走しないものの「移動」と捉えた瞬間に世界は変わります。リンゴのように自走しないものが動くという現象は世界に満ち満ちていますから。自ら動かないものが、こちらからあちらに「移動」するには何かしらが介在する、と子供でもわかります。引っ張るとか、押すとかのある種の力が必要だと。要はその思考(感覚)が、一瞬、落ちるリンゴに投影されるかです。思考の飛躍の瞬間です。地面がリンゴを何がしかの力で引っ張っている。気づきのヒントがここにあります。ロックオンされた思考(感覚)からの解放(実はロックオンの認識自体がない)が、「気づき」のスタートだ。・・・と悟った今日この頃です。

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