(奥秩父/小鹿野町両神山山麓3月)
春の訪れを告げるセツブンソウ。幼いころ早春の落葉樹林の中で見かけたような気がしましたが、最近で全く見かけることがなくなりました。それもそのはず、今では、環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種になっているとのこと。石灰質(アルカリ)土壌を好み、自生地としては、埼玉県小鹿野町・栃木県栃木市・広島県庄原市などが有名だそうです。この一枚、実は当社で清掃の仕事をして頂いている方が、まさに自生地の小鹿野町の両神山の麓で撮影したものです。清楚で、愛らしく、ディテールがとても素敵です。
変な外国人
4~5年前、秋ある晴れた日の午後、川幅が30メートルもない渓流に掛けられた丸太橋を、リュックを背負い、這い這いしながらゆっくり渡っていく太った初老の外国人。一瞬、誰かに似ているなと思う。英国ウェールズ生まれで、日本国籍をもつ小説家・ナチュラリストのクライヴ・ウィリアム・ニコル(C.W.ニコル)。
でも、よく見るとやはり違う。そんなに格好良くない。なにしろ這い這いしながら、4本に束ねられた丸太橋を渡っているのだから。渓流沿いに走っている道の上から私はこの光景を見ている。ここは、秩父へ抜ける国道299号線から少し離れたところにある、何の変哲もない山里の渓流。彼はやっとのことで、向こう岸に辿りつき立ち上がる。短い秋の日は既に西に傾き、川面を川下から照らし上げている。彼は、暫く眩しそうに川下を眺めていたが、やがて、もときた丸太橋を、また這い這いしながら、こちらの岸に戻り始めた。私は英語(私は勝手に彼が英語圏の人と決めつけていた)が苦手なので、未知の外国人との遭遇を避けるべく、そっとその場を逃げるように去った。
さて、しばらくして、私は不思議な気持ちに捕らわれた。あのC.W.ニコルに似た外国人は、身の危険?を顧みず、何の変哲もない山里の川に掛かった丸木橋を渡り、何を見にいったのだろうか?彼は向う川岸に立って川下を見ていた。あそこから眺められる風景といえば、岩の間をゆっくりと流れる川とその左岸に続く竹藪から覗く民家の屋根。そしてその奥には谷間に掛かったくすんだ赤色の鉄橋。そして更にその奥には行き止まりのように立ちはだかる山、そしてその上に広がる空。
幼いころから慣れ親しんだ風景には、特段の感情はわかないが、この変な外国人には、心を動かす日本の風景とでも映ったのか・・・・?
2017年訪日外国人2870万人
あれから数年が経過し、日本政府観光局(JNTO)によると昨年の訪日外国人旅行者数は推計値で2869万人とのこと。あの変な外国人との遭遇が5年前(2012年)とすると、その時の訪日外国人旅行者数は836万人(確定値)ですから、何と3.4倍の増加です。地域別でみるとアジア圏が4.2倍、ヨーロッパ圏が1.7倍、南北アメリカ圏が2.0倍で、成長力の逞しいアジア圏が突出しています。彼らの増加は定番の観光地だけでは説明できないようです。すなわちネットです。より具体的にはスマホです。彼らは自分たちが見つけた日本のスポットを画像や動画で盛んに発信しており、その体験情報が彼らの国で拡散し、それがまた彼らの国の人々を日本に引き付けているようです。
聞くところによると、彼らが見つけた日本のスポットは、観光地だけではなく、日本人が気にもかけなかったお寺の裏山からの眺めであったり、どこかの路地裏の家の佇まいであったり、また季節ごとに巡ってくる仕事や行事であったりと千差万別です。我々日本人からすれば、日常の中に溶け込んでいる風景であり、または生業そのものです。とてもそこに、観光資源があるとは気がつきません。
政府は2020年に訪日外国人旅行者数4000万人の目標を掲げています。これから更に多くの訪日客を呼び込むためには、極端な言い方をすれば、日本の観光資源開発は彼ら海外の人に任せたほうが良いかもしれません。日本人でその道の専門家とかいう人が、こねくり回した誘致策に多額のお金をかけて行うよりも、むしろ日本人は裏方に徹して、彼らのネットに流れる情報の地域性や多寡を分析し、また直接、彼らに耳を傾けてネックになっているところを小まめに改善してあげる方が効率的かもしれません。そして最後に重要なのは、やはり私たち日本人一人ひとりが、日本人の美徳とされている公共心や思いやりをもって彼らを積極的に受け入れていくことでしょう。決して数年前の私のように、未知との遭遇などと言って逃げたりしてはいけません。まずは勇気をもって、
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