(蛍の光跡/平成29年6月下旬、高麗川上流にて)
日が落ち、夕暮れの闇が深くなる午後八時。蛙(カワズ)の鳴き声が川面から湧き上がるその瞬間-、黄色い小さな光たちが川岸のあちこちから飛び出す。限りある時間の中で、命を繋げるために小さな体を精一杯光らせて-、強い光が弱い光を呼び込んで、空中で縺れ合いながら川岸の葉陰に消えていく。梅雨のこの季節に繰り広げられる、かわいい光たちの恋愛協奏曲。
身近な気候変動
当社の周りには、林や畑が広がっており、当社に来られるお客様の中には農家の方もおられ、よく畑で収穫した作物をおすそ分けにあずかることがあります。つい最近も、スモモが実ったので、と真っ赤なスモモを戴いたのですが、その方曰く、最近は実の着きが早く、成熟するのも早いというのです。スモモに限らず全ての果実がそのような傾向にあるということでした。
上記写真の蛍が飛んでいる山裾には梅林が広がっていますが、6月下旬には収穫のピークが過ぎてしまいました。私の実家では小さな畑で多少の野菜も作っていますが、春から夏にかけての野菜の成長も早い気がします。また畑の草の伸び方が異常に早いのも気になります(おかげで、草刈りが大変です)。気温の上昇と大気中のCO2の微妙な増加が植物の炭酸同化作用を活発化させていることが考えられます。
また、果実だけでなく、小さな生き物にも変化がみられます。定点観測をしているわけではないのですが、前述した蛍の発生時期やピークも心なしか早まっているような気がします。季節が毎年前倒しで進んでいると感じています。真夏日の発生も毎年早まっており、その発生も常態化しています。
ところで、この程度の変化なら、まだ良いのですが、この数年、梅雨に入ると日本のいたるところで過去にないスコールのような集中豪雨が繰り返されています。今年も九州の大分県や熊本県で発生した集中豪雨が甚大な被害を与えました。その後も九州だけでなく、いたるところでの記録的な集中豪雨が発生、多くの死傷者が出ています。災害に遭われた方には、心からお見舞い申し上げます。毎年の水災害の常態化は地球温暖化が季節の変化にも大きな影響を与えている証でしょう。
米国-どうなっちゃってるの?
話は飛びます。
折しもドイツハンブルクで開かれたG20の首脳による地球温暖化対策の全体会議。人類の将来的生存にかかわる重要なテーマを話合う会議を勝手に抜け出すどこかの国の自覚なきリーダーには失望以上のものを感じます。小学校の学級会-。みんなで夏休み前の大掃除の役割分担を決めているさなか、「俺は、そんなことより、他のことに興味があるので、そちらにいくよ。」と学級委員長の同意もえないで話合いを抜け出す、ちょっとばかり腕力のある自分勝手なやつ、といったところでしょうか。地球温暖化とCO2の増加は関係ないという少数の科学者の見解もありますが、膨大なデータを基に多くの科学者の共通見解となっている地球温高とCO2の増加。それを否定し、自分を支持した石炭産業を復活させようとする、何とジコチュウなお人なのかと-。米国自体、民間ベースでは脱石炭へ向かっているらしいのに、益々現実と乖離していくような気がします。
最近このジコチュウ病が世界に蔓延し始めた感もあります。世界をリードすべき影響力のある国家がみんなジコチュウ(保護主義)になったら、歴史からの教訓を、人類は何も学んでいないことになります(そうはならないとは思いますが)。英国の騎士道ではないですが、エリートはエリートなりの振る舞いをするから、皆から信頼され、尊敬の念を集め、それが権力の源泉ともなり人を動かし行くのです。国家も同じだと考えます。経済力のみの国家では、民衆の心まではつかめないでしょう。アメリカについて言えば、懐の深さがアメリカをアメリカたらしめ、世界の人々に一目おかれたのですから・・。また、アメリカの内部でも民衆レベルの分断が深まり収拾の目途が見えない状況でもあります。世界のアメリカはどこへ向かって走り始めたのでしょう。非常に心配です。
ただ、世界経済が、このところ調子が良いのには救われます。米国経済の良好さに加え、欧州・中国とも昨年の悲観論が薄れ、また途上国経済も堅調であることから、2017年の世界経済は順調な成長軌道をたどると言われています。世界銀行の予測では2.7%。IMF(国際通貨基金)の予測は3.5%と高めです。地政学的リスクや金融リスクが顕在化せず、また国際間の協調的バランスが崩壊しないことを切に祈ります。