リサイクル通信

2016年7月155号】

英国のEU離脱 / 日本の民主主義

(北海道/小樽運河2016年5月)

明治時代に小樽港は札幌の外港として繁栄の基礎を築き、北海道の一大交易拠点となり、大正期には札幌の人口を凌駕し、北海道最大の都市となりました。戦後は人口が爆発的に伸びた札幌に経済の中心が移り、交易拠点としての役割も終焉を迎えます。一時は北のウォール街とよばれ、小樽の商人たちは北海道経済だけではなく海外の相場さえにも影響力をもったとされています。

英国のEU離脱

イギリスがEUから独立することになりました。産業革命と世界的交易で富を築き、第二大戦後、世界各地に交易拠点が台頭するなか、イギリスの交易国家としての地位は衰退するものの、EUという開かれた市場のなかで活路を見出し、その後は、金融の交易拠点として、世界の金融市場の中核的存在にまで登りつめました。

EUの中でも独自の地位と影響力を保持していたイギリス。グローバル化と共に発展してきた国家が、民衆の感情的?な内向きな世論に押され、歴史の流れに逆行するような事態は他国のことながら気掛かりです。たしかに、元来、イギリスは過去の大英帝国の歴史的経緯から、オールドファッション層の多くは、ヨーロッパ大陸の諸国と自分たちは違うというプライドが心の片隅にあることも確かでしょう。移民の流入問題や絶えずEUの規制に縛られるといった側面や、それと結び付けての所得格差の拡大のみを強調すれば、彼らのナショナリズムに火をつけることは容易にちがいありません。

一方、グローバルな経済活動の現実感覚を身に着け、EU内の自由な活動のメッリットを評価している若い世代はEU残留を支持していました。本来、経済的にも、政治的にも、EUを味方につけ、その中で存在感を強め、対外的な交渉力を身に着けた方が、英国に利益をもたらすと思うのですが・・・・・・。

さて、ここにきて、新たな保守党の党首がきまり、EU残留派だった新たな首相が誕生しました。EUとの離脱交渉の政策チームは離脱派をあて、また外相には、国民投票で離脱に向け世論を引っ張て行った指導者を起用、その責任をしっかり負わせるなど、混乱していた政権の骨格も見えてきました。イギリスのEU離脱という情報は、世界経済に大きな衝撃をあたえましたが、不確実性の中にもリスクが見積れるようになるにつれ、世界経済は過度の不安を解消しつつあるようです。米国の金利引き上げ見送りや、途上国の金融緩和政策もありマーケットも持ち直してきました。一時の混乱が収まりつつあることにホットします。  

今回の衝撃的な英国のEU離脱劇は、何か他人ごとのようには思えない事象です。米国の大統領選挙にしても、同じような構図が見えます。不平・不満をシンボリックなキーワードで爆発させ、攻撃する対象(事象)を作り上げ、熱狂の渦を作り上げ、扇動していく、と言ったパターン。近代の世界史の中に何回も登場してきます。過去に日本も同じようなパターンで、取り返しのつかない過ちを犯してきました。それはちょっと考えすぎ、と言う人もおられますが、私が危惧するのは、このような熱を帯びたエネルギーは、ある臨界点を超えると、多くの理性を備えた良識ある人たちをも飲み込み、歯止めがきかなくなるという事実です。まさかの事象が常態化して起こってしまう恐ろしさです。今後日本にも同じような政治・社会状況が生まれないとはかぎりません。今更ながら、理性と教養を養うことの重要性を感じます。

日本の民主主義

選挙権が18歳からとなりました。若者は未来からの贈り物と言われます。彼らは、自分たちがこれら生きていく未来を意識して、「今」を生きているからだと言われています。未来を強く意識してこそ、今のありようの正誤が感じ取れる。ただ、先がない故、「今だけ」しか考えない老人も怖いですが、エネルギーあり余る、何も考えない若者の存在も怖いです。

若者に無党派層が多いのは、支持できる政党がないからだとか、政治が悪いからだとか、よく耳にします。確かにその側面はあります。しかし、叱られるかもしれませんが、実態は、その多くは何も考えていない人達かもしれません。ちょっとした耳触りの良い言葉や、歯切れの良い言葉、或いは知名度のみに反応して動いてしまう。形態は民主主義であっても、しっかりした土壌がなければ成熟し安定した民主主義は成立しません。ファシズムの芽もそんなところから生じます。誤解を恐れずに言えば、中学・高校での政治学習(かの国の思想教育ではありません)の重要性を強く感じます。彼等が未来からの贈り物だからこそ、そう思います。

      

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