リサイクル通信

2012年8月108号】

インドネシア訪問

先月、地元の所属団体の視察研修において、インドネシアを訪問しました。インドネシアは、ASEANに位置しており、その中に於いても多くの人口を抱えています。近年、タイなどでは自動車を中心とする産業集積が進んでおり、ワーカー不足が深刻化しています。ベトナムに於いても、ホーチミン近郊などでは、やはりワーカーの不足が見受けられます。

その中に於いて、2.3 億人の人口を擁しているインドネシアは、まだまだ経済発展の余地が大きいと言えます。また、一方で経済発展に都市インフラが追いついていないとも言われています。今回は、古くから現地に進出している東レを訪問すると共に、都市インフラの現状を視察したいと思います。東レは、1970 年に現地に進出しています。この当時のインドネシアのGDPは100 億ドル程度。この40 年で85倍に発展しています。当時から現地に駐在している黒田氏は、正にこの発展を目の当たりにしてきた人物です。赴任当初の印象は、「自然が豊かだが、国民が貧しい国」だったそうです。長い駐在の中に於いて、外資が儲けるばかりで国民が豊かになれないとして、反日運動が起こったりなど色々な経験をされたそうです。

また、テング熱にも罹り、瀕死の所まで行きながら、無事回復した事もあったそうです。着任当初は、イスラム教の習慣が分からず大分苦労したそうです。特に決まった時間に礼拝があり、その間は全ての作業が止まってしまいます。しかし、繊維を製造する過程では、連続運転の部署もあり、どう運営するか大変悩まれたそうです。しかし、航空機や鉄道などは、礼拝時間に関係なく運営されている事に着目し、ワーカーと話し合いを進めた所、金曜日の全体礼拝も、3週間の中で、1 回守ればいいなど柔軟な部分も見えて来たそうです。もちろん、日々の礼拝などにも配慮が必要です。ラマダンなど日本人にはなじみのない習慣がありますが、ワーカーときちんと向き合い、話し合う事で解決できると仰っておりました。

国民的には、勤勉であり、また、人間関係が強い社会だそうです。色々と苦労の多い黒田氏ですが、柔道を若い頃からやっており、現地での指導、道場建設などに貢献し、日本人としては、数少ない永住権と選挙権を所持しているそうです。さて、都市インフラについてですが、ジャカルタの渋滞は、致命的なくらい酷い状況です。通常で15 分程度の所に1 時間掛かったり、3 車線でも5 列で並走したりといった状況です。これを少しでも緩和すべく、ガソリンの価格を高めにするなどの操作をおこなっているそうですが、必ずしも効果が出ている様ではありません。オートバイも多い国ですが、自己資金があって購入する層は、非常に少なく、つい最近、政府はオートバイの購入に当たっては、頭金を3割入れる事とした規制を出しました。それだけで、年間700 万台の需要の内、100 万台の需要が消えたそうです。近代化が進んでいるインドネシアですが、まだまだ多くの国民は、ゆとりとは縁遠いのかもしれません。

一方で、都市自体は、タイの様に高層ビルの足元に屋台が並んでいる様な状況ではなく、整備されている様に感じました。高級ショッピングモールなども複数ありますが、こういったショッピングモールでは、物価も必ずしも安くありません。しかし、独立記念塔などでは、路面に品物を並べて売る人などもあり、貧富の格差が相当ある様に感じました。都市インフラ、イスラム教など進出に当たっては、問題も多いインドネシアですが、東レで黒田氏と共にご対応頂いた大河原氏が、このインドネシアの2.3 億人という人口は、将来必ず大きなアドバンテージになる、と仰っていたのが印象的でした。世界は、フラット化する事は無く、国による価値観の多様性をきちんと認識しながら、事業適地を考える。その目線を持てるかが、グローバル化した世界に立ち向かう上で、最も重要な資質なのだと、改めて感じた視察でした。

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