3 月に入っても冷たい日が続いた後、ここにきてやっと本当の暖かな春がやってきたと思われた矢先、宮城県沖から茨城県沖を震源とする国内最大規模の地震が発生しました。予想を超える大津波が甚大な被害を及ぼしています。
この原稿を書いている間にも、被災状況がどんどん拡大し、死者は10,000 人を超えるようです。場所によっては津波の危険から救援に向かうことができず、数百名以上の遺体が浜に取り残されているとか。また安否が不明な方も多く、救援活動が進むに連れて死傷者はさらに増え続けるでしょう。津波から逃げる途中で家族がばらばらになり、その後の消息がつかめない人達-。なんとも胸が締付けられます。どうか一刻も早い救助によって一人でも多くの住民の方々の生命が助かることを願って止みません。
そして、その後にくる復興-。国だけでなく、我々国民一人一人も、どのような形であるにせよ、おかれた環境中で、できる限り協力していく必要があるでしょう。そしてなによりも、支援において大切なことは、被害者の気持ちに寄り添うことでしょう。被害者が今の悲しみ、これからの悲しみを乗り越えて、復興の先に希望を見出すには、生活基盤の早期回復だけではないでしょう。域内での人間同士のネットワーク、また地域外とのネットワークによる関係性の構築、あるいは、コミュニケーション機能の円滑化を通じた心のケアー等が非常に大切になります。人間の能力のうちで、最も尊いものは他人の悲しみを共有する能力でしょう。これから長い戦いが始まろうとしています。気を落とさずに前に向かって歩みだされることを、ただただ祈るばかりです。
世界経済雑感
各種経済指標によると、今年に入り、国内景気は踊り場から脱しつつあるようです。今回の大地震が生産活動に短期的には大きな影響を与えることは間違いありません。しかし、不安要因を内包しつつも、アジア新興国の力強い経済成長やアメリカ経済の回復に伴い、需要に牽引される形で企業の生産活動は中期的には持ち直すと考えられます。
さて、リーマンショック以来の経済推移を概観してみますと、そのプロセスはマクロ経済の危機とミクロ経済の健全化といった二つの経済的側面を生み出したように見えます。リーマンショック当時、世界各国は世界恐慌の回避を図るべく、財政政策と金融政策を総動員して需要の回復に努めました。その結果、新興国の早い立ち直りと、それに続く先進国の緩やかな景気回復により世界経済は最悪のシナリオを回避し、成長軌道に乗ることができたと言えます。
リーマンショックで贅肉を落とし切った企業は、この新興国を中心とした世界的な経済回復の過程で、利益及びキャッシュを積み上げて予想以上の企業体力をつけ、更なる成長に資金をつぎ込もうとしています。しかしその一方で、各国政府は、危機的な財政難と世界的な過剰流動性という負の遺産に苦しめられています。そして、更にここにきて、世界的なインフレの加速と中東に端を発した民主化の動きが世界経済の不安要因となり始めました。
このような環境にあって気にかかるのは、経済大国第二位の中国の動向です。中国は今まで輸出主導型の経済成長を確保するために、国際的批判を浴びつつも為替管理政策により元レートを低めに誘導する積極的な元売り-ドル買いを行っておりました。これにより市場に元を放出せざるを得ず、絶えずインフレ圧力を内包してきたと言えます。通常の先進国では中央銀行がこの増加したマネーを吸収しマネーサプライを一定に保つインフレ抑制政策をとりますが、中国ではそのような政策手段を持ちえず、金利操作で管理しようとしているようです。しかし、世界規模でのインフレ圧力は、金利政策だけでの対処に引導を渡そうとしています。経済を冷え込ませないためにも金利政策には限界があります。また、急激なインフレは中国国民の生活水準の悪化を通じて、民主化運動にも火が付きかねません。そろそろ中国は、矛盾する為替管理を修正せざるを得ない時がきていると思われます。・・・ビジネスも変わります。