リサイクル通信

2009年4月69号】

国内アルミスクラップ産業壊滅、そして未来へ

昨年来の世界的な不況を受けて、国内のアルミス クラップ産業は、壊滅的な打撃を受けています。国内 需要は、幾つかありますが、大きなものとしては、自 動車向け、建築向けがあります。

通常、市中から発生するアルミスクラップは、その 大半が自動車向けのアルミインゴットを作っている アルミ二次合金メーカーに販売されていきます。しか し、このメーカーが自動車の大減産を受け、アルミ合 金の鋳造量を30%程度まで減らしています。

これが 短期間で終わるのであれば、それ程大きな問題になら ないのですが、今回は、昨年秋から減産が強化され、 今年の1~3月は、ほとんど購入ゼロといった状況で す。二次合金メーカーも決算の関係もあり、在庫圧縮 を至上命題としていました。しかし、一方で、市中か らも少ないながらもスクラップは、発生し問屋に持ち 込まれてきます。当然、問屋には在庫の山が出来ます。 それでも、メーカーは、対応しませんでした。結果と して、かつてのメーカーと問屋の信頼関係は、崩壊し てしまったのです。非鉄専門問屋では、怨嗟の声すら 聞こえており、よほどプレミアムが付かなければ、メ ーカーには販売しないといった声もあちこちで聞か れる様になっています。

本来は、それでも買ってもら う相手なので、あまりな事は言えないはずですが、非 鉄専門問屋がメーカーに反旗を翻せた理由には、中国 の存在があります。世界的な不況の波は、もちろん中 国にも及んでおりますが、それでもGDP の伸びは高 く、また中国政府が50 万トンを戦略備蓄すると発表 した事にあります。世界的には、アルミの在庫は、過 去最高水準にありますが、上海市場での在庫は、減少 傾向にあります。この中国需要の早い段階での回復を 受け、アルミスクラップは、ジリ高傾向にあります。 もちろん、LME についてもファンダメンタルズの好転 を受けて上昇傾向にあります。これらの要因によっ て、アルミスクラップは、海外という新たな販路を開 拓したのです。

かつて、鉄スクラップが、国内メーカ ーの減産を受けて、輸出マーケットを開拓した様に、 アルミについても輸出が始まったのです。鉄スクラッ プの場合には、この輸出が関東鉄源協議会といった、 関東地区の大半の問屋が加盟する大きな組織に発展 しました。ここの行う入札は、日経新聞の1 面に掲載 される程、影響力をもっております。アルミについて も同じように組織化されるのか?というと体質的に 難しいと思います。それでも個々の問屋単位での輸出 対応は、続いていくものと思われます。 国内で発生したスクラップを集荷・選別し、本来で あれば、日本は資源の少ない国ですから、国内に販売 していきたい。しかしその需要が大幅に減ってしまい ました。長期的に見ても、人口の減少によってどこま で回復するのか疑問です。

2050 年には、人口の50% が65 歳以上という予測が発表されていますが、その 状況で、自動車、住宅といった需要が大きく伸びると は思えないからです。もちろん一定の需要はあります が。 ナショナリズムとしての国境というものは、相変わ らず高いと思いますが、一方でビジネスの視点で見た 国境というものは非常に希薄になっていると思いま す。国内の需要が長期低迷する中で、ビジネス国境が 希薄になった今、東アジア共同体が提唱されて久しい ですが、中国、インドを加えたアジア全体を一つのビ ジネス圏として大きなマーケットとして捕らえる事 は、至極当然だと思えます。その際のアルミマーケッ トでは、個々のアルミ部品の鋳造は、より大きなマー ケットを求め、現地化が進んで行くでしょう。同時に サプライヤーである二次合金メーカーは、同様に海外 での比重を高めていくという事になっていくのでは ないでしょうか。

ここまでで考えると輸出は、バラ色 の未来の様にも見えますが、同時に為替リスクを考慮 しなくてはなりません。最近でこそ、1 ドル100 円ま で下がっていますが、同時に1 ドル70 円といった状 況も考慮しておくべきでしょう。その際には、原料の 一部輸入、製品の一部輸出といった形で、対応して行 く事も視野の中に入れておかなくてはなりません。い ずれにしろ、昨年来の状況を鑑み、両足を国内に置く のではなく、片足をやや重心を軽くしながらも国外に 置くことは必要な事だと思います。世界経済全体で見 れば、確かにアジア全体でのGDP は、まだまだ小さい かもしれません。

それでもアジアの中で見たビジネス 国境は、益々ボーダレス化していくでしょうし、大き なマーケットとして益々成長して行く事でしょう。世 界人口の30%以上が集中し、みんながリッチになろ うとしているのです。人口増加とハングリーな精神が アジアの推進力となり、共生にこそ日本の未来もある のかも知れません。 桜を通して見た空はどこまでも青く、広々としてい て、世界の広さを、そして可能性を感じさせるもので した。臆せずチャレンジしていきたいものです。

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