リサイクル通信

2008年7月59号】

資源高騰をめぐる二つの視点

7月に入り、梅雨明けを思わせる暑い日差しが照り つけるかと思うや否や、夕方には一転して黒い雲が湧 き起こり空一面を覆いつくす。そしてすぐさま、激し い雷雨とスコールのような激しい雨。梅雨明け前の特 徴的な天候と、子供のころ教えられましたが、そろそ ろ夏の青空を期待してもよいのかもしれません。しか し、最近のこの熱帯のスコールを思わせる激しい雨。 数十年前の私の子供の頃とは様子が違うような気が します。地球温暖化は毎年毎年、熱帯地域をぐっと北 に引き上げているように思われます。

資源高騰をめぐる二つの視点

(短期的な経済的脈絡で捉えてみると・・・)

最近の石油価格高騰には、なにやらやりきれない思 いが募ります。基本的には新興国の急激な需要の拡大 によるものですが、それを加速した要因もあります。 経済成長の後退を防ぐべく金融緩和政策により垂れ 流された世界的過剰流動性です。その大量の資金が、 魅力を失いつつあるドルや証券市場から逃げ出し、投 機的な「物=資源」に向かってしまっているというこ とです。

本来なら、証券市場等を通じて付加価値を生 み出す生産活動(企業活動等)に向かい国民所得を増 加させる役目を担っているお金が、大挙して資源投機 へと走っているのです。 話を製品価値(価格)に進めます。製品価値とは、 最終的には消費サイドとの調整を伴いますが、要は供 給サイドからみれば、川上(原料)から川下(製品) へと、原料+付加価値連鎖の累積値です。

ところが現 在生じていることは、人間が手を加える付加価値累積 プロセスの最初の川上の原料(資源)の段階で、価格 が高騰し、その後の価値連鎖のプロセスを不当に歪め 始めていることです。日本のように資源をもたない国 は、物づくりという付加価値連鎖のプロセスのなか で、富を築いてきました。その価値創造の累積値が正 当に反映されなくなることは日本経済にとって好ま しい状況ではありません。勿論、世界経済にとっても 同じです。 それからもう一つ気になることがあります。この価 値連鎖と表裏一体をなす、行為としての労働に対する 価値観に関わることです。

我々日本人だけではないと 思うのですが、物への働きかけ(作業とか行為)それ 自体に価値を認めるという暗黙の職業的倫理観が存 在します。(最近は希薄になっているといえますが。) 特に、日本人には特徴的であり、物の所有より、物づ くりへの勤勉な行為自体に価値を見出しているとこ ろがあり、これが経済的付加価値形成プロセスと表裏 一体になっているところがあります。

冒頭、石油の高騰がなんともやりきれない思いが募 ると言いましたが、それは、労働における本来の付加 価値創造過程が正しく評価されず、ひいては物づくり の労働に対する職業的倫理観も失われてしまう。その ような変化への(古い人間の)やりきれなさと言った らよいでしょか。

(長期的な文明史的脈絡で捉えてみると・・・・)

人類の文明史をみると、過去からの連続性を断ち切 るような激しい変革(ゆらぎ)が、必ずや文明移行期 には現れます。個々の文明の栄枯・盛衰はあるものの、 文明なるものは、エネルギー資源を森林から石炭、石 炭から石油・天然ガスへと、資源の相対的枯渇ととも に新たな資源を獲得しつつ、今日の地球文明にまで拡 大してきました。最近の過去にない石油資源の高騰 は、次なる資源への移行を強く促すための、ある種の 文明的なゆらぎのような気もします。

21世紀に入り、石油エネルギーの持つ負の面、い わゆるCO2 等の温暖化ガスによる人類生存の危機が 世界的に叫ばれ、低炭素社会(文明)の構築が急務と なり始めました。今回の洞爺湖サミットでも、「2050 年までに温暖化ガスの排出量を50%削減する目標を 全世界で共有するよう求める」ことで合意がなされま した。なにやら回りくどい宣言ですが、この言い回し からもわかるように50%削減を合意したわけではあ りません。

CO2 排出の大きなシェアーをもつ振興国を 取り込むことは依然できません。国益という壁に阻ま れ、多くの国々が具体的目標を設定することが出来 ず、その前で足踏みしている状態です。このような状 態が長く続くようなら、SF映画ではないですが、人 類の知らぬ間に破局が訪れ、取りかえしのつかない状 況になっていた、などとなるかも知れません。(ある いは既になっているのかも知れません。)

石油価格の異常な高騰だけでなく、資源全般の高騰 も同じ脈絡のなかで捉えてみると、文明からの強いメ ッセージを感じます。 「時間的余裕はない。人類の存続という地平に立ち 返って考え・行動すべし。人類の生き方や考え方の根 本的な大転換を図れ!そして新たな代替エネルギー への転換を可及的速やかに実行せよ!」と。

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